理想の生き方を育む

教師が一般企業に転職して後悔すること2選とその対策

初めての転職は、誰にとっても最も困難になりがち。

皆さんがその壁を乗り越えられるように、ここではよくある後悔を2つ紹介します。

また、最後にそれを回避するための準備についてお話しします。

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転職活動を始める際の参考にしてください!

「成果」の尺度の違い

教師としての「成果」、あなたは今までどのような成果を上げましたか?

成績の向上や残業時間の低減など、数字で表せるものはわかりやすいですよね。

一方で、生徒の成長などは感覚的なものもあり、目に見える形で示すのが難しいと思いませんか?

営業職へ転職した人の例

営業職は、未経験でも結果さえ出せれば認めてもらえる実力主義の世界。

商売をしていく上で、広告は切っても切り離せない超重要な要素なので、どの会社でも需要がある業種です。

そんな世界に飛び込んだNさんは、元々小学校の教員。

非常に熱心で、生徒一人ひとりと向き合う素晴らしい先生でした。

しかし、「もっと実力で評価される世界で自分の力を試したい」「経済的にもっと余裕を持てるチャンスが欲しい」という思いから、IT系のベンチャー企業に営業職として転職しました。

転職して半年経った頃、彼の快活さは失われているように感じました。

彼が話したことで1番印象に残っているのは、「成果や感謝の質が全く違う」ということ。

企業での彼の評価は、「今月の売上目標、達成率120%」といった完全に数字で測られるものに変わりました。

もちろん、目標をクリアすればインセンティブも貰え、大きな達成感はあったそうです。

しかし、彼は以下のような趣旨の話をしてくれました。

Nさん

正直そこまで必要としていない人にも、少し強引に高額なプランを勧めてしまうこともありました。

契約が取れた瞬間は嬉しいが、罪悪感というか、虚しい気持ちになる。誰の役に立っているんだろう?

教師時代は、生徒の『わかった!』という顔を見るだけで、心から温かい気持ちになれた。

あの喜びや感動が、ここにはないんです。

Nさんにとって、生徒や保護者からの「ありがとう」は、彼の存在そのものを認めてくれる温かい言葉でした。

しかし、ビジネスの世界での「ありがとう」は、あくまで商品やサービスに対する対価であり、彼自身に向けられたものではないと感じてしまったのです。

同僚は皆、目標達成のために走る「ライバル」であり、生徒の成長を一緒に喜んだり、悩みを分かち合ったりした職員室のような一体感もありませんでした。

もちろん、彼も営業という仕事の社会的な意義は理解しています。

しかし、子どもたちの未来に直接関わるという、あの唯一無二のやりがいを一度知ってしまったからこそ、利益や数字を追い求める日々に、割り切れない思いを抱えてしまったのでしょう。

これはあくまで一例ですが、教師という仕事が、いかに「人の心」を直接的なやりがいにできる特殊な仕事であったかを、外に出てから痛感する人は少なくないようです。

裁量権がなくなる

クラスにおいて、担任は「主(あるじ)」です。

学校や学年の意向もありますが、細かいところは担任の創意工夫に任せられることが多いですよね。

一般企業でも、同じように自分のやり方を貫けるでしょうか?

食品マーケティング部門に転職した人の例

Cさんは、学級運営や授業づくりに独自のアイデアを反映させるのが得意な、創造性あふれる先生でした。

彼女は「自分の企画力を、もっと大きなフィールドで試したい」と考え、誰もが知る大手食品メーカーのマーケティング部門に転職しました。

しかし、彼女が直面したのは、「裁量権の喪失」と、それに伴う「スピード感の遅さ」でした。

教員時代、彼女の行動力には目を見張るものがありました。

「来週の総合学習で、子どもたちに地域の魅力を発見させるために、近所の商店街と連携した探検マップ作りをしよう!」と思いつけば、すぐに商店街に自分でアポイントを取り、保護者に手紙を出し、翌週には実行に移せました。

もちろん校長や学年の同意は必要ですが、クラス内の活動に関しては、基本的に彼女の裁量でスピーディーに物事を進めることができたのです。

自分の工夫が、すぐ目の前の子どもたちの「楽しい!」という笑顔や学びとなって返ってくる、ダイレクトな手応えがありました。

転職後、彼女は新商品の販促キャンペーンの素晴らしいアイデアを思いつきました。

しかし、それを実行に移すまでの道のりは、想像を絶するほど長かったのです。

  1. まず、詳細な企画書と予算案を作成し、チームリーダーに提出。
  2. リーダーの承認後、課長に説明し、承認を得る(ここで何度も修正が入る)。
  3. 次に、営業部、開発部、広報部など、関連部署との調整会議が設定される。各部署の都合や要望を取り入れるため、企画は少しずつ姿を変えていく。
  4. 全ての調整が終わったら、最終的な稟議書を作成し、部長、場合によっては役員の承認(ハンコ)をもらう。

彼女が「面白い!」と閃いたアイデアが形になるまでには、数ヶ月かかることも珍しくありませんでした。

その過程で、当初の斬新なアイデアは、様々な人の意見というフィルターを通るうちに、誰が見ても無難な、角の取れた企画に「丸まって」しまうことも。

彼女はこう漏らしていました。

Cさん

教師の頃は、準備は大変でも、自分の工夫一つで子どもたちの目がキラキラ輝く瞬間をこの目で見られました。

でも今は、何重もの承認の壁を越えているうちに、これが本当に自分の仕事なのか分からなくなる時があります。

自分のアイデアが形になったときには、すでに自分のアイデアでは無くなっているのです…

もちろん、多くの人を巻き込み、大きな予算を動かす企業の仕事では、こうした慎重なプロセスが必要不可欠です。

しかし、自分の裁量でクラスを動かし、子どもたちの反応を肌で感じていたCさんにとって、この間接的でスローな仕事の進め方は、大きなストレスと物足りなさの原因となってしまったのです。

これもまた、教師という仕事の持つ「高い自律性」と「ダイレクトな手応え」を知っているからこそ生まれる、特有のギャップと言えるでしょう。

避けるための対策は?

これらは、どちらも「教師という仕事の『当たり前』と、企業という世界の『当たり前』のズレ」から生じています。

ゆうきT

このズレを事前に把握し、ギャップを埋めるための具体的な対策を紹介します!

その1:解像度を極限まで高める「自己分析」

まず最も重要なのが、教師時代の何に喜びを感じていたのか、自分自身で深く掘り下げることです。「生徒の成長が嬉しい」で終わらせず、さらに細分化していくのです。

例えば、

知識を教えるのが好きならば

企業の「研修講師」や、製品の魅力を伝える「プリセールス」、「セミナー講師」といった職種が向いているかもしれません。

生徒の悩み相談に乗るのが好きならば

「キャリアアドバイザー」や「人事(採用・労務)」など、人のキャリアや心に寄り添う仕事が考えられます。

教材や授業を工夫して作るのが好きならば

「教育系企業のコンテンツ開発」や「マーケティング(特にオウンドメディアの企画・編集)」などが視野に入ります。

クラスというチームをまとめるのが好きならば

プロジェクトマネージャー」や「チームリーダー」**として、目標達成にチームを導く役割が合う可能性があります。

このように、「やりがい」を具体的な「行動」や「スキル」のレベルまで分解し、それをビジネスの世界の言葉で「言語化」しておくことが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。

Nさんの場合、「人の心の成長に貢献したい」という気持ちが核だったのに、「数字で評価される」という全く別の物差しを持つ営業職に飛び込んでしまったのが、後悔の始まりでした。

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その2:企業の「リアルな空気」を情報収集する

企業のウェブサイトや求人票に書かれているのは、あくまで「建前」です。

ゆうきT

本当に知りたいのは、社員が日々感じている「本音」の部分ですよね?

元教員で転職した先輩を探し出し(SNSや転職エージェント経由で見つかることも多いです)、話を聞かせてもらいましょう。

その際、後悔の種になりがちな「裁量権・評価・スピード感」に関することを聞いてみてください。

裁量権について

入社1年目の方が、自分で判断して進められる仕事の範囲は、具体的にどこまでですか?例えば、10万円の予算を使うのに、何人の承認が必要ですか?」

評価について

・こちらの会社では、個人の売上目標のような数字の評価と、チームへの貢献や顧客満足度のような数字以外の評価は、どれくらいの重みで語られますか?

スピード感について

何か新しい企画を思いついた時、それが承認されて実行に移されるまで、平均的にどれくらいの時間がかかりますか?そのプロセスで、もどかしさを感じることはありますか?

その3:いきなり異業種を目指さない

教師という専門職から、全くの異業種へ一足飛びに転職するのは、文化の違いが大きすぎてショックを受けやすいものです。

ゆうきT

「教師の経験が直接活かせる関連業界」をターゲットにする、という選択肢も非常に有効です!

具体的には、以下のような業界です。

  • 教育テクノロジー(EdTech)業界:学習アプリやオンライン教材を開発する企業
  • 人材業界:企業研修の企画・運営、キャリアカウンセリングなど
  • 出版業界:参考書や教材の編集・開発
  • NPO・社会貢献団体:子ども支援や教育格差の是正に取り組む団体

これらの業界は、利益追求だけでなく「教育」や「人の成長」というミッションを掲げていることが多く、教師の価値観と親和性が高い傾向にあります。

まずはこうした場所でビジネスの基礎を学びながら、自分の適性を見極め、そこから更にキャリアを考えるという道筋であれば、Nさんのような虚しさを感じるリスクはかなり低減できたはずです。

考えすぎるのもダメ!行動しながら考える!

「転職したいけど、もっとキツイ環境になるかもしれないな…」

可能性だけの話をすれば、もちろんあり得ます。

しかし、準備によってその可能性を減らすことは可能です。

1番良くないのは、考えすぎて後回しにしてしまうこと。

将来の自分にツケを回さないように、少しずつでも動きましょう!

実際の転職はリスクもありますが、転職「活動」はノーリスクです。

何か始めればいいか分からない人は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。

転職のプロが、あなたの悩みに寄り添って適切なアドバイスをしてくれます。

もちろん無料です。

まずはやれるところまで、行動しましょう!考えこむのはそれからでも遅くないですよ!

ABOUT ME
ゆうきT
あなたに転職する勇気を!ゆうきTです。 大卒から直で私立教師→閉塞的な人間関係に限界を感じ公立教師へ転職→第二の人生を歩むために一般企業への転職を成功させました。 皆さんに成功体験をお届けし、転職に挑戦するあなたの背中を後押しします!