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ただの「学級担任」で終わらせない。教員の経験を最強の武器に変える職務経歴書の書き方

転職活動を始めようと思った際、ほぼ間違いなく作成するのが「職務経歴書」です。 同じ業種ならともかく、一般企業を目指すなら、当然ながら採用担当者に合わせた書き方や伝え方を意識しなくてはなりません。 しかし、教員の業務は一般企業の仕事に直結するケースが少ないため、「うまく書けない…」となかなか筆が進まない人も多いことでしょう。

ご安心ください。ほんの少し『翻訳』するだけで、あなたの経験は企業が求める輝くスキルに変わります。 この記事では、誰もが一度は迷う「職務経歴書の上手な書き方」について、具体的な翻訳術とともに解説します。ぜひ最後まで読んで、あなたの職務経歴書をレベルアップさせてください。

◎教員の3大業務を「最強スキル」に翻訳する具体例

教員の仕事は多岐にわたりますが、今回は特にアピールしやすい以下の3つに絞って、より良い書き方を考えていきましょう。

  1. 授業
  2. 保護者対応
  3. 学級経営

1.「授業力」を翻訳するには

教員の仕事のメインは、やはり「授業」です。数年、あるいは十数年と教壇に立ってきた先生方なら、それぞれに授業をうまく行うためのノウハウをお持ちのことでしょう。 みなさんはその能力を、どうやって企業に伝えますか?

授業力は、【企画力】や【プレゼンテーション能力】に翻訳することができます。

【書き換え例】 年間約20単元の学習計画を立案し、生徒の知的好奇心を引き出す授業を企画・実行しました。特に、ICTツールを活用したプレゼンテーションや、グループワークを取り入れた授業設計により、定期テストの平均点を15点向上させた実績があります。この経験で培った【企画力】と【プレゼンテーション能力】を活かせます。

「中学校で社会科の授業を担当」と1行書くだけよりは、こちらのほうが圧倒的に「仕事ができる」という印象を与えます。

また、「生徒の学力を上げるために行った工夫」を具体的に述べることができれば、それは【課題解決能力】としてアピールすることも可能です。

ポイントは「具体的な数字を入れること」です。(実際のところ、平均点は問題の難易度で変動するものですが、それが事実であるならば、自信を持って記載して問題ありません。)

【Point】 普段の授業から、数字で成果を表せるような授業づくりや評価を意識しておくとよいでしょう。 これは管理職との面談のときにも、自分の成果を伝える方法として有効です。

2.「保護者対応」を翻訳するには

ある意味、教員業務の真髄ともいえるのが「保護者対応」ではないでしょうか。円滑な関係を築くための日々のコミュニケーションは非常に大切です。

そのような工夫を「保護者会や個人面談を行いました」の一言で済ませるのは、あまりにもったいありません。例えば次のように翻訳するのはどうでしょう?

【書き換え例】 年間40名以上の保護者と面談を実施。学習面や生活面での多様な課題に対し、丁寧なヒアリングを通じて解決策を協議・提案しました。時には難しいご意見も頂きましたが、対話を重ねて最終的な合意形成へと導きました。この経験で得た【調整・交渉力】と、相手に寄り添う【信頼関係構築力】には自信があります。

ここには一切、嘘や誇張はありません。もし可能であれば、「学期に一度の満足度アンケートで満足度95%を獲得」「クレーム件数の半減」など、こちらも具体的な数字で示すことができると、説得力が格段に増します。

3.「学級経営」を翻訳するには

そして、最も楽しくもあり、最も大変でもあるのが「学級経営」です。子どもだからといって全員が素直に言うことを聞くわけではありません。全員に話を聞かせる統率力はもちろん、望ましくない行為に対して優しく諭し、見守る忍耐力も必要だったはずです。

この経験をそのまま伝えても、採用担当者にはピンとこないかもしれません。これを採用担当者に納得してもらうには、どう伝えればよいのでしょうか。

【書き換え例】 35名からなるチーム(クラス)のリーダーとして、生徒一人ひとりの特性や目標を把握し、集団としての目標達成を支援しました。文化祭や合唱コンクールといったプロジェクトでは、目標設定から役割分担、進捗管理までを行い、チームを成功に導きました。この【チームマネジメント経験】は、貴社の〇〇業務で貢献できると考えております。

前半は学校での出来事をそのまま記載しましたが、後半はあえて「目標設定」「役割分担」「進捗管理」など、一般企業でも使われるビジネス用語に置き換えました。「チームマネジメント」と翻訳することにより、学校関係者でなくてもイメージしやすい文章になったのではないでしょうか。

まとめ:あなたの経験は「宝の山」。あとは「翻訳」するだけ

いかがでしたでしょうか。あなたのこれまでの経験は、場所が変わればこのように評価される『専門スキル』なのです。決して一般企業に通用しないわけではなく、伝え方次第で相手の受け止め方も全く変わってきます。

これは、生徒の進路指導と似ています。 「何を伝えたいのか」「より具体的に」「伝え方の工夫」…これは、先生方が受験生に指導してきたことではないでしょうか。生徒に伝えてきたことを、今度はぜひご自身に適用してみてください。相手の立場に立ち、どのような職務経歴書ならば興味を引くか、じっくり考えてみましょう。

あなたが培ってきた教員としてのスキルは、一般企業でも必ず活かせます。 まずはご自身の経験を信じて、自己分析から始めてみてください。